トランプ大統領の医薬品に対する関税政策と、それを回避するための大手製薬会社の米国への大規模投資の話題は記憶に新しいところ
かと思いますが、この米国の関税政策がきっかけで、米国研究製薬工業協会から日本に対して薬価引き上げ要求が出てきたので、今回は
それを取り上げたいと思います。
報道によると、米国研究製薬工業協会（PhRMA）会長で米ファイザー会長最高経営責任者（CEO）のアルバート・ブーラ氏が2025年11月18日
に都内で記者会見を開き、トランプ米政権の薬価政策を受け「今後、米国と日本の間で新薬の薬価を平等にしていくことが求められる」として、
事実上の日本での薬価引き上げを求めました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC174DC0X11C25A1000000/?msockid=2b1b7692df496a9d1e95621ede616b97
興味深い内容なので、ChatGPTに、この発言の背景や関連情勢・今後の懸念点について整理を頼んでみました。
以下がその解答です。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ChatGPTの解説 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
■背景
米側の薬価政策プレッシャー
米国では、Donald Trump政権が「米国が他国より高い医薬品価格を支えている」という認識のもと、海外価格を参照して米国価格を引き下げる
制度（例えば「最恵国（Most Favoured Nation＝MFN）方式」）を掲げています。 Reuters+3pharmexec.com+3SWI swissinfo.ch+3
例えば、Pfizer社が米国内での薬価引き下げ交渉を米政府と行ったことが報じられています。 Reuters+2フォーブス+2
こうした政策環境のなか、製薬企業・業界団体（PhRMA等）は、海外価格の低さが「米国での研究開発投資／新薬投入への収益性を低下させる」
と懸念を示しています。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会+2PHARMA JAPAN+2
日本市場の状況
日本では、革新的医薬品（特許期間中の医薬品）であっても、薬価（公的医療保険の給付価格）が長年にわたり“毎年見直されて下がる”傾向が
あります。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会+2PhRMA – 米国研究製薬工業協会+2
また、国際的には「日本市場における新薬投入の遅れ（＝いわゆる“ドラッグロス”）」「日本での新薬開発誘致の停滞」などを指摘する声があります。PHARMA JAPAN+1
PhRMAの日本法人による発表では、日本政府に対して「革新的医薬品の価値を正しく評価し、薬価制度をより安定的／予見可能なものに改革
すべき」との要請がなされています。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会
Bourla 氏の来日発言
18日、東京での記者会見にて、Bourla氏は「米国と日本の間で新薬の薬価を平等にしていくことが求められる」と発言し、事実上「日本での薬価
引き上げ」を示唆する発言と受け止められています。
同日に PhRMA からのプレスリリースでも、「日本が革新的医薬品に対して長年にわたって不利な薬価政策を実施してきたため、イノベーション
投資や早期上市にとって市場としての魅力が低下している」との言及があります。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会+2PHARMA JAPAN+2
具体には、PhRMA側が日本に対し以下のような改革を要請しています。
１．特許期間中の医薬品の薬価維持や引き下げ幅／頻度に上限設定すること。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会+1
２．新薬収載時（保険適用時）の初期薬価を改善し、「革新性／価値」を適切に反映する制度の確立。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会
３．日本政府が創薬エコシステムを再構築する国家戦略を策定し、製薬企業が日本でより積極的に研究・投入できる環境を整備すること。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会
■関連ニュース・影響
日本の医薬品市場において、薬価引き下げ継続が「日本市場の魅力低下」の原因とする報道があります。 PHARMA JAPAN
また、米国におけるMFN政策の動向が、海外市場、特に先進国市場における価格設定／新薬投入戦略に大きな影響を及ぼすとの分析も
出ています。 pharmexec.com+1
例えば、米国が「他国より安くなっている薬価を是正する」動きを強めれば、他の国（日本含む）でも「薬価を引き上げなければ自国が低価格市場
として位置づけられてしまう」という懸念が出てきます。
日本国内では、薬価制度改定・再算定・費用対効果評価の拡大などが進んでおり、改革の方向性を巡って製薬業界と政府との間で駆け引きが
行われています。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会+1
■今後の懸念点
いくつか重要な懸念点があります。
１．患者・国民負担の拡大
薬価を引き上げることになれば、医療保険制度（日本では公的保険＋薬価制度）への影響があります。薬価が上がれば、保険給付のコストが
増えるため、保険料・自己負担・税負担などが圧迫される可能性があります。
薬価上昇が患者アクセスを妨げないよう制度設計が問われます。
２．製薬企業の上市戦略の変化
製薬企業側は「価格の低い市場に最初に投入しない」「価格を上げやすい市場で先行投入」「低価格市場では投入を遅らせる」など戦略を
変える可能性があります。これは患者のアクセス遅延につながる懸念があります。 pharmexec.com+1
日本が「低価格市場」と見なされるリスクが高まると、新薬の日本投入がさらに遅れる「薬ロス」の問題が強まる可能性があります。
３．イノベーション投資・創薬環境への影響
製薬企業・PhRMA側の主張では、薬価が低く、収益性が制限されると、「新薬開発への投資回収」が難しくなり、研究開発の縮小や日本市場
からの撤退・縮小という道を選ぶ可能性があります。 PhRMA – 米国研究製薬工業協会+1
日本政府・制度設計側として、創薬誘致・世界的な競争力を維持するためには、価格制度を含めた環境整備が必要という指摘があります。
４．制度的・政策的反発・調整コスト
薬価制度を引き上げる／維持するという方向に舵を切るには、政府・保険者・患者・製薬企業と多くの利害関係者が絡むため、調整・合意が
難しいことが予想されます。
一方で、引き下げ方向を続けると、製薬企業からの反発・投入戦略の歪み・国際比較上の立ち位置低下という問題もあります。
５．国際価格調整・他国との関係性
米国のMFN政策や国際的な薬価参照制度が強化されると、日本だけでなく他国も影響を受けます。日本が薬価を急激に上げる／維持する
方向に動くと、諸外国との価格バランス、薬の流通／製造戦略、国際的なライセンス契約などにも波及します。
逆に、日本が価格を据え置きあるいは下げる場合、米国から「他国の低価格が米国の価格を引き下げる根拠になる」とのプレッシャーを
受ける可能性があります。
結論
Bourla氏の「米国と日本の間で薬価を平等に」という発言は、言い換えれば「日本市場でも革新的医薬品に対して、現在の薬価水準・制度設計
を見直し、引き上げあるいは維持を通じて収益性を確保すべきだ」というメッセージと受け止められます。これは、製薬企業側からの制度要求
というだけでなく、米国の薬価政策（特にMFNなど）という国際的な圧力を背景にしています。
日本としては、
ー医療保険制度・財政とのバランス、
ー患者アクセス・公正性、
ー創薬・医薬品産業競争力、
を総合的に勘案して、薬価制度改革を図る必要があります。
今後、政府・保険者・製薬企業・患者団体の間で「どのように薬価を決めるか／価格水準をどう担保するか／制度の予見可能性をどう確保
するか」という議論が一層激化すると思われます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
トランプ政権の医薬品関税政策のおかげで、かねてから問題視されていた日本の薬価の低さについて、米国研究製薬工業協会（PhRMA）が
日本に薬価引き上げを要求してくるというのは、非常に興味深い話だと思います。
日本の薬価制度は製薬業界のイノベーションや、患者の新薬へのアクセスを妨げる可能性があり改善の必要があるものだと思いますが、
高齢化社会が進む中で医療費削減も日本の大きな課題です。
今後の動きが非常に気になるところです。
