ホワイトハウスの発表によるとトランプ大統領は2025年7月31日に大手製薬メーカに薬価の引き下げを求める書簡を送ったそうです。
https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/07/fact-sheet-president-donald-j-trump-announces-actions-to-get-americans-the-best-prices-in-the-world-for-prescription-drugs
2025年5月12日にトランプ大統領が「米国の患者に最恵国待遇価格の処方薬を提供する」とする大統領令に署名後、
トランプ政権は製薬メーカと協議してきたものの製薬業界の提案が不十分だったため、今回の書簡では製薬メーカに対して
以下の措置を説明したうえで、もし拒否すれば、政府はあらゆる手段を講じると伝えているそうです。
●メディケイド患者一人ひとりに最恵国待遇価格を提供するよう製薬メーカに求める。
●製薬メーカに対し、他の先進国に米国で提供される価格よりも良い新薬価格を提供しないことを規定するよう要求する。
●製薬メーカに、先進国で入手可能なベストプライスよりも高くない価格で医薬品を販売することを条件に、中間業者を排除し、
患者に直接医薬品を販売する手段を提供する。
●海外での収益の増加がアメリカの患者と納税者の価格引き下げに直接再投資されることを条件に、貿易政策を利用して、
製薬メーカが国際的に価格を引き上げるのを支援する
書簡の送付先は、以下の17社だそうです。
アッヴィ(本社:アメリカ)
アムジェン(本社:アメリカ)
アストラゼネカ(本社:イギリス)
ベーリンガーインゲルハイム(本社:ドイツ)
ブリストルマイヤーズスクイブ(本社:アメリカ)
イーライリリー(本社:アメリカ)
EMDセローノ(本社:スイス)
ジェネンテック(本社:アメリカ)
ギリアド(本社:アメリカ)
GSK(本社:イギリス)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(本社:アメリカ)
メルク(本社:ドイツ)
ノバルティス(本社:スイス)
ノボノルディスク(本社:デンマーク)
ファイザー(本社:アメリカ)
リジェネロン(本社:アメリカ)
サノフィ(本社:フランス)
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<感想>
本社がアメリカにあっても製造拠点が海外であれば医薬品を輸入することになるので別に不思議ではないですが、とはいえ、
書簡の送付先17社のうち9社の本社所在地がアメリカということに少々驚きました。
7/8時点での“輸入医薬品に最大200%の関税を課す”という発表から、この話をトランプ大統領の関税政策の一環としてとらえて
いましたが、書簡の送付は関税政策とは別で、製薬メーカに対する薬価引き下げ要求ととらえたほうがよいのかもしれません。
と言いつつ、トランプ大統領が今後どのような政策を打ち出してくるかわからないので、インド、中国、オーストラリア等、アメリカに
医薬品を多く輸出している国々は、まだまだ気が抜けない状況にあると思います。
ところで、日本の製薬メーカは今回の送付先に含まれていませんでしたが、これは、とりあえず喜ばしいことなのでしょうか。