トランプ大統領が7/8、米国に輸入される医薬品に最大200%の関税を課すと発表しました。
詳細は今月末に発表されるようですが、発効までに1年~1年半の猶予期間を設け、製薬会社にアメリカ国内での医薬品製造を
促すつもりのようです。
アメリカへの輸出が多い日本の大手製薬会社の収益悪化が懸念されます。
ワールドニュースを見ていると、アメリカに医薬品を多く輸出しているインドやオーストラリアでも懸念が広がっているようです。
オーストラリアは、銅の関税よりも医薬品の関税のほうが大打撃なのだとか。オーストラリアがそんなに医薬品を輸出しているとは
知りませんでした。
6/30のブログ(アメリカの医薬品関税政策に対するアメリカ国内の反応 – 株式会社デジタルシナジー)で取り上げましたが、
アメリカ国内にも医薬品の関税政策を疑問視する見方がある中、この先どうなるのか気になります。
ところで、トランプ大統領のドラスティックな関税政策により、アメリカの人たちは関税の計算に苦労していないのでしょうか?
余計なお世話ではありますが、アメリカの通関業者やロジスティック会社が関税計算や申告内容を間違わないのか、
Chat GPTとCopilotに質問したところ、やはりミスは起きているようです。
**************************** Chat GPTの回答 ****************************
⚠️ 主なミスの背景
1.関税制度が極めて複雑で頻繁に変更される
2025年4月以降、すべての輸入品に最低10%の関税が課された上、国ごとに大小約90か国で追加の「相互関税」が重ねて適用
されました。この種の「タリフスタッキング(tariff stacking)」により、分類作業が非常に煩雑になっています。
2.急な関税政策変更に対応が追いつかない
たとえば「鋼鉄・アルミ関税の突然の倍増」や「Liberation Day 関税(4/5日施行)」など、数時間〜数日前の通達では、通関業者は
急遽資料を訂正・再提出せざるを得なくなります 。
3.輸送書類や原産地・分類の誤情報による申告ミス
サプライヤーが誤った情報(国籍、製品分類、価額など)を提出し、それを通関業者がそのまま使うケースが多く、結果として関税の
過少申告や多過申告につながります 。例えば、「中国からのタイヤを他国経由と偽装して大幅な関税を逃れる」事例も報告されています。
🏢 どんな現場で発生している?
中小のブローカー:
輸入者から寄せられる質問が急増し、HTSコードごとに1~5ドルといった小口のエラーが頻発しています。
大手物流業者(FedEx, DHL, UPS):
専属チームを強化しているものの、急変対応や書類修正により、逆に再申告が必要となるケースも増えています 。
🔍 判断責任は誰にある?
輸入者(Importer of Record:IOR)が最終責任者です。通関業者はあくまで代理であり、輸入者が誤情報を提供していた場合でも
責任を問われる可能性があります。
🧭 結論
・米国の通関業者やロジスティック会社でも、急な政策変更や情報の誤りによって計算ミスや分類ミスは現実に起きています。
・ただし、最終的には輸入者が申告内容の正確性を保証する責任を負うため、自社でのチェック体制やコンプライアンス整備が不可欠です。
・政策対応が遅れたり誤情報を使ったりすると、高額な関税追徴やFalse Claims Act(偽計請求法)による罰金、刑事責任に発展するリスク
があります 。
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**************************** Copilotの回答 ****************************
🇺🇸 関税計算の難しさと誤りの可能性
以下のような要因が、計算ミスのリスクを高めています:
・関税率の多層構造:一律10%のベース関税に加え、国別の追加関税(例:日本は24%、中国は34%)が加算されるため、累積計算が必要です。
・CIF価格ベースの課税:関税は「Cost, Insurance and Freight(CIF)」価格に対して課されるため、輸送費や保険料の正確な把握が不可欠です。
・対象品目の頻繁な変更:対象となる品目リストが頻繁に更新されるため、最新情報の確認が欠かせません。
・例外規定の複雑さ:USMCA(米・加・墨協定)や特定の原産地規則を満たす製品は除外される場合があり、判断が難しいです。
📦 実務現場での対応
米国税関(CBP)は、通関業者向けに「Cargo Systems Messaging Service(CSMS)」を通じて詳細なガイダンスを発信していますが、
それでも以下のような事例が報告されています:
・関税率の誤適用:追加関税を二重に計算してしまうケース
・対象外品目の誤認識:スマートフォンなどが除外対象であるにもかかわらず課税してしまう
・還付制度の誤処理:払いすぎた関税の還付申請が遅れる、または却下される
🧮 誤りを防ぐための工夫
・専門ソフトウェアの導入:AIベースの関税計算ツールを活用する企業が増えています
・通関士の再教育:新政策に対応するための研修が各社で実施されています
・政府との連携強化:CBPやUSTRとの定期的な情報交換を通じて、誤りのリスクを減らす努力が続いています
計算ミスは起こり得るが、業界全体でそのリスクを最小限に抑える努力がなされているというのが現状です。
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予想通りではありますが、赤あげて白あげてゲーム状態の関税対応にアメリカ国内も苦労しているようです。
ついでに、ロイターの記事によると、通関業者が複雑な関税規制のために、手数料を引き上げたり、
大手物流会社が米国税関コンプライアンスの人員を増員したりして対応しているようです。
https://www.reuters.com/business/retail-consumer/us-importers-turn-brokers-navigate-trump-era-tariffs-cost-2025-06-11
関税計算ツールを導入したり、手数料を上げたり、人を雇ったりしていると、アメリカ国内の輸入品の値段は
ますます上がってしまうのではないでしょうか?