2025年6月2日、米国食品医薬品局(FDA)が、科学的査読から調査まで、職員が効率的に働くことを支援するために
設計された生成型人工知能(AI)ツールのElsa(エルサ)を立ち上げたと発表しました。
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-launches-agency-wide-ai-tool-optimize-performance-american-people
記事によると、科学査読者によるパイロットプログラムの成功を受け、6月30日までにFDA全体にAIツールの導入を
拡大する予定のようです。
記事にあったElsaの情報の抜粋です。
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高セキュリティのGovCloud(※)環境内に構築されたElsaは、全ての情報をFDA内に保持しつつ、職員が内部文書に
アクセスできる安全なプラットフォームを提供します。モデルは、規制対象の業界から提出されたデータに基づいて
トレーニングされないため、職員が扱う機密性の高い研究やデータは保護されます。
FDAはすでにElsaを活用し、臨床プロトコルレビューの迅速化、科学的評価に必要な時間の短縮、優先度の高い
調査対象の特定に取り組んでいます。Elsaは、大規模な言語モデルを活用したAIツールで、読み書きと要約を
支援するように設計されています。Elsaは、安全性プロファイル評価を支援するための有害事象の要約、ラベル比較の
高速化、非臨床アプリケーション向けデータベース開発を支援するコード生成などが可能です。これらは、Elsaが
FDA全体で業務効率を向上させるためにどのように活用されるかを示すほんの一例です。
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「アナと雪の女王」の女王様と同じ名前を持つElsaが、ウォーニングレターをスラスラと書いて送りつけてくる日も近いのかも
しれません。
ところで、Elsaは、AIモデルの信頼性評価のガイダンスのドラフトhttps://www.fda.gov/media/184830/downloadに従って
バリデートされているのでしょうか?そこも少し気になるところです。
※GovCloud
アメリカ政府機関と特定のクライアント向けのAWSのクラウドサービスで、セキュリティなど規制要件と
コンプライアンス要件に対応するために独立したAWSリージョンで構成されています。
https://docs.aws.amazon.com/govcloud-us/latest/UserGuide/whatis.html