2025年8月15日~17日に中国の北京市で開催された「第1回世界人型ロボット運動会」のニュースを見ました。
世界初の人型ロボットを主体とした総合スポーツイベントで、日本を含む世界16か国から約280チーム、500体以上の人型ロボット
が参加して26種目の競技が行われたそうです。
競技は、陸上(100m、400m、1500m、4×100mリレー、100m障害走、高跳び、立ち幅跳び)、サッカー、ボクシング、格闘技、バスケット
ボール、卓球などのスポーツ種目、シングルダンス、グループダンス、武術(演武)、自由体操などのパフォーマンス種目、工場での資材
の整理や搬送、倉庫での混合物の選別、ホテルでの受付・接客・清掃サービス、医療現場での薬品包装・医薬品の仕分けといった
応用シーン種目など、様々だったようです。
バランスをとって走ったり、ボクシングをしたりするロボットの映像に驚かされました。また、サッカーの試合で、競技続行が出来ず人に
引きずられて退場するロボットや、ホテルの接客競技で、倒れたキャリーバッグを起こすことなくそのまま蹴って運び続けるロボットの
姿に笑ってしまいました。
中国政府は国を挙げて人型ロボットの開発に力を入れていて、2027年までに能力を大幅に向上させる目標を立てているそうです。
中国の製造業は深刻な人手不足に直面していて、一部の若者は工場の製造現場ではなく自由で柔軟な働き方ができる仕事を選ぶ
ようになったことから、人型ロボットのニーズが高まっているらしいです。
実際、中国のロボット技術の発展はめざましく、世界商用サービスロボットの出荷台数は10万台を超え、その84.7%は中国メーカー
だったのだとか。
この分野で中国が大きくリードしていることを実感します。
当然のことながら、日本も深刻な人出不足に陥っています。
人型ロボットが医薬品製造現場で仕分け、搬送、包装をする日もくるかもしれません。
ただ、人型ロボットが製造現場の様々な状況に応じて動くには、継続的かつ自動的に学習してパフォーマンスを適応することができる
動的なAIモデルの使用が不可欠だと思います。
近日中に発出予定のEU GMPガイドラインのAnnex22(人工知能)は、静的なAIモデルの使用に限定しているので、このガイドライン
の下での医薬品製造現場での実用化は難しく、新たなガイドラインの制定が必要になりそうです。
出典:
【25-23】世界人型ロボット運動会の日程発表 14日に開幕 | Science Portal China
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250817/k10014896121000.html
https://www.yomiuri.co.jp/science/20250815-OYT1T50077/
https://j.people.com.cn/n3/2025/0811/c94476-20351588.html