FDA:カナダの企業に対する指摘 (WL:320-26-94)

今回は、米国食品医薬品局(FDA) がカナダの製薬会社をリモートで評価して発したウォーニングレターを取り上げ
ます。
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/sante-manufacturing-inc-724931-06052026


********************* Warning Letter 320-26-94 概要 *********************
FDAがFD&C Act 704(a)(4)に従ってカナダのOTC医薬品の製造業者に対して記録の要求を行い、2025年7月7日に
提出された記録をレビュした結果、医薬品製造に関するCGMP違反を確認され、2026年6月5日付で以下の内容の
ウォーニングレターが出ました。
●指摘1
貴社は、医薬品の各成分の同一性を確認するために少なくとも1回試験をすることを怠った。また貴社は、適切な間隔
で貴社の成分の供給業者の分析試験の信頼性を確証することを怠った。 (21 CFR 211.84(d)(1)&211.84(d)(2))
<指摘1詳細>
貴社はXXなどのOTC医薬品を製造している。貴社から提出された記録及び情報に基づくと、貴社はXX汚染のリスク
が高い成分である入荷したXXの各ロットを発送品毎に、製造に使用する前に適切に試験していたことを証明して
いなかった。これには、医薬品製造に使用されるXXの適切な同一性を判断するための試験を含む。また貴社は、供給
業者の試験成績書(COA)に依存し、適切な間隔で供給業者の分析試験の信頼性を確証することなく供給業者の
COAに基づいて成分XXを受け入れた。
XXに汚染された成分の使用は、世界中の人々にさまざまな致命的な中毒事件を引き起こしてきた。XXにてXX汚染の
リスクが高い成分を含む医薬品を製造する際のCGMP要件を満たすための助けとしてXXを参照せよ。
適切な試験や、供給業者の試験結果の信頼性の確認がなければ、貴社には、製造する医薬品に使用する前に成分や
医薬品が適切な規格に適合しているという科学的なエビデンスが欠けている。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・この文書の日付時点から30暦日以内に、貴社の医薬品の製造に使用されるリスクが高い医薬品成分の全ての
ロットに関する保管サンプルの試験から得られたXX試験の結果を提出するという約束
・XX汚染(これに限らないがXXを含む)のリスクがある成分を含む、使用期限内の医薬品に関する包括的なリスク
アセスメント
 当該成分の全てのロットと、XXを含む可能性のある関連する医薬品の安全性を確認するために、顧客への通知や
 汚染されたロットに関係する製品の回収を含む迅速で適切な措置を講じよ。今後のサプライチェインの安全性を
 確保するために、これに限らないが、入荷した全ての原材料のロットが、適格性が評価された製造業者からのもの
 で、危険な不純物を含んでいないことの保証を含む、追加の適切な是正処置・予防処置(CAPA)を特定せよ。これ
 らのアクションをこの文書への回答の中で詳細に説明せよ。
・同一性、濃度、品質、純度に関する適切な全ての規格への適合について、貴社が成分の各ロットをいかに試験する
予定であるかについての説明
 貴社が濃度、品質、純度について、成分の各ロットを試験する代わりに、供給業者のCOAの結果を受け入れる
 場合、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、貴社の供給業者の信頼性をいかに確実に確証
 するかについて明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの同一性試験を常に実施する
 という約束を含めよ。XXや特定のさらなるリスクの高い成分については、米国薬局方(USP)モノグラフのXXの
 実施が含まれることに留意せよ。
・製造での使用可否を判断するために、リスクの高い成分の入荷した各ロットを試験するために貴社が使用する化学
的な品質管理の規格
・成分、容器、蓋の全ての供給業者が適格で、原材料には適切な使用期限やリテスト日付が付与されていることを
確認するための、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
 このレビュでは、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために、入荷した原材料の管理が適切かどうかも判断する
 必要がある。
●指摘2
貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとうたう、または、表示された同一性、濃度、品質、純度を持つことを
保証するために設計された適切な文書化された製造手順と工程管理を確立することを怠った。(21 CFR 211.100(a))
<指摘2詳細>
貴社から提出された記録及び情報に基づくと、貴社は貴社のXXシステムを適切に適格性評価したことを証明して
いなかった。さらに貴社はXXシステムを適切にモニタしていることを証明していなかった。貴社は、このシステムから
得られるXXを医薬品の成分として使用しているため、少なくともUSPのXXモノグラフの試験要件と貴社の使用目的
に応じた適切な微生物限度を満たすことを保証する必要がある。さらに貴社は、貴社が、適切なプロセスバリデー
ションプログラムを持っていることを証明していなかった。
プロセスバリデーションは、ライフサイクルを通じて工程の設計の妥当性と管理状態を評価するものである。製造工程
の重要な各段階は、適切に設計され、投入する原材料、工程内原料、最終製品の品質を保証する必要がある。工程の
適格性評価の検証は、ロット内のばらつきの特性を示し初期の管理状態が確立しているかを判断するためにロットを
評価するための、各工程の重要な段階での集中的なモニタリングと試験の実施を含む。
商用の販売前に工程に適格性評価の合格の完了が不可欠である。その後、貴社が製品のライフサイクルを通して
安定した製造作業を維持していることを保証するために、プロセス性能と製品品質の継続的で厳格な監視が必要
である。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチに関しては、FDAのガイダンス文書
Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・製品のライフサイクルを通して管理状態を保証するための、貴社のバリデーションプログラムの詳細なサマリと関連
する手順
 プロセス性能適格性評価(PPQ)と、継続的な管理状態を保証するためのロット内及びロット間のばらつきの継続的
 で厳格なモニタリングに関するプログラムについて述べよ。また、貴社の装置及び施設の適格性評価プログラムに
 ついても述べよ。
・貴社で販売している各医薬品に関する適切なPPQ実施のためのタイムライン
 プロセスバリデーションを実施せずに製造され販売された医薬品に関するリスクアセスメントと講じるべきフォロー
 アップ措置についても述べよ。
・プロセス性能プロトコル、装置と設備の適格性評価に関する文書化された手順
・貴社が製造する各医薬品の各ロットでの使用の妥当性を保証するためのXXの定期的な微生物試験を規定した、
貴社のXXシステムのモニタリング手順
・貴社のXXシステムで使用されている総菌数及び好ましくない微生物に関する現在のアクション/アラート限度値
 貴社で製造される各医薬品の用途を考慮して、貴社のXXに関する総菌数の限度が適切に厳格であることを保証
 せよ。
・システムが一貫してXXのUSPモノグラムの規格と適切な微生物限度を満たすXXを製造することを保証する継続的
な管理、メンテナンス、モニタリングに関するプログラムを規定する手順
●指摘3
貴社の品質管理部門は、貴社で製造された医薬品がCGMPに準拠し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された
規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)
<指摘3詳細>
貴社から提出された記録及び情報に基づくと、貴社は、貴社の品質部門(QU)が、これに限らないが効果的な手順の
実施や貴社が製造する医薬品の適切な監督の実施を含む、その権限と責任を適切に果たしていることを証明して
いなかった。例えば、貴社のQUは以下のことを保証することを怠った:
・医薬品の安定性の特性を評価し、適切な保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用するよう
に設計された適切に文書化された試験プログラムの確立(21 CFR 211.166(a))
・貴社の分析方法の適切なバリデーション(21 CFR 211.166(b))
この文書内の重要な所見は、貴社がCGMPに準拠した効果的な品質システムを運用していないことを示している。
貴社の製造作業に対する効果的な管理監督の欠如に加え、我々は、貴社のQUが適切な権限を行使できていない、
かつ/または、責任を十分に果たしていないことを確認した。経営陣は貴社のシステム、工程、製品がFDAの要件に
適合していることを保証するために、貴社の製造作業全体を直ちに包括的に評価すべきである。
貴社の品質システムは不十分である。CGMPに準拠した品質システムを確立し維持するガイダンスについては、
FDAのガイダンス文書Q8(R2) Pharmaceutical Development、Q9(R1) Quality Risk Management、
Q10 Pharmaceutical Quality Systemを見よ。
この文書への回答の中で、貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証する
ための包括的なアセスメントと改善計画を提出せよ。アセスメントには、これに限らないが、以下の事も含む必要が
ある:
・貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
・適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
・QUがロットの処遇を判断する前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
・全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査及びその他全てのQUの職務遂行の監督と承認
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社は、貴社の作業を評価し、CGMPの要件を満たすために貴社を
助けるために21 CFR 211.34に記載された適格なコンサルタントを雇うべきである。適格なコンサルタントは、貴社
がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、CGMP遵守に関する6つのシステム(※)
の包括的な監査も実施し、CAPAの完了と効果を評価する必要がある。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを遵守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、
継続的なCGMP遵守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
※6つのシステム:品質システム、設備&装置システム、原材料システム、製造システム、包装&ラベル貼付システム、
試験管理システム
●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、調査して違反の原因を
判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは2026年4月27日に貴社から米国に輸入するために提供される全ての医薬品及び医薬品製品に対し輸入警告
措置66-40を発した。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDA
は貴社の医薬品製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に
対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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今回はカナダの企業に対して実施されたリモート評価で確認された事項に関するウォーニングレターでした。
リモートで記録を確認するだけでも不備は明らかになるものなのだなあと改めて感じました。

株式会社デジタルシナジー 
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