EC(欧州委員会)は、2025年7月7日に、EU GMPガイドラインのChapter4とAnnex11の改訂と、人工知能に関して新たに設けられる
Annex22に関し、協議用のドラフト版を公開しパブリックコメントの募集を開始しました。
パブリックコメントは、ECのウェブサイトで10月7日まで受け付けられています。
https://health.ec.europa.eu/consultations/stakeholders-consultation-eudralex-volume-4-good-manufacturing-practice-guidelines-chapter-4-annex_en
ChatGPTに、概要作成と影響分析をしてもらいました。
************************** ChatGPTによる概要と影響分析 **************************
Chapter 4(文書化)の改訂案概要
文書のデジタル化に対応し、あらゆるデータ(電子・紙・音声・画像・動画を含む)の統合的な管理の強化や、データ・インテグリティの
適用拡大を意図した内容になっています。
<参考>
〇現行
https://health.ec.europa.eu/document/download/104b3eb8-81a7-4858-9419-cb06562adb66_en?filename=chapter4_01-2011_en.pdf
〇改訂案
https://health.ec.europa.eu/document/download/fa336a6e-753b-46fc-b53b-9178bacd8878_en?filename=mp_vol4_chap4_consultation_guideline_en.pdf
Annex 11(コンピュータ化システム)の改訂案概要
ページ数が約5ページから19ページに大幅増に増えています。
Security、Identity & Access Management、Audit Trails、Supplier & Service Management、Qualification/Validationの要件が
増えています。
また、クラウド/SaaS/モバイル/AIシステムも含む全システムライフサイクル管理の強化が求められています。
<参考>
〇現行
https://health.ec.europa.eu/document/download/8d305550-dd22-4dad-8463-2ddb4a1345f1_en?filename=annex11_01-2011_en.pdf
〇改訂案
https://health.ec.europa.eu/document/download/40231f18-e564-4043-94de-c031f813d38b_en?filename=mp_vol4_chap4_annex11_consultation_guideline_en.pdf
Annex 22(人工知能)の新設案概要
AI/MLシステムの導入初期指針が整備され、モデル使用目的の明示、性能指標維持、継続的監視、変更管理、人のレビュー体制などの
要件が含まれています。
<参考>
〇新設案
https://health.ec.europa.eu/document/download/5f38a92d-bb8e-4264-8898-ea076e926db6_en?filename=mp_vol4_chap4_annex22_consultation_guideline_en.pdf
業務別影響分析 | ||
業務カテゴリ | 主な影響 | 対応が必要な内容 |
文書管理 | 電子記録・電子署名を含む全媒体が対象に | 文書管理SOPの改訂、文書保存期間、署名管理 |
バリデーション | Annex 11改訂でCSV要件が大幅強化 | バリデーション手順の見直し(クラウド、SaaS含む) |
監査・査察対応 | データガバナンス/完全性に対する要求が明示化 | Audit Trailや電子署名のレビュー記録整備 |
AI/ML活用 | Annex 22で規制枠組みが初導入 | AIモデルの選定理由、性能評価、再学習のSOP整備 |
外部委託(ベンダー管理) | サプライヤ評価・監査責任の明文化 | クラウド/SaaS提供元との契約見直し(監査権限等) |
システム・文書面での影響
🔹 文書体系への影響
・SOP、WI、記録テンプレートが電子・紙・混在型で再構築を求められる
・電子署名、電子記録に関する明確な定義と実施SOPが必要に
・ハイブリッドシステム(例:紙の記録をスキャン保存 → LIMSに記録)には整合性証明が必要
🔹 システム要件・リスク管理への影響
・Annex 11改訂により、セキュリティ、ユーザー管理、監査証跡の定義が厳格化
・クラウドシステム/SaaSの利用には「リスクベースでの選定」「契約/監査/維持体制」が必須
・AIシステム(Annex 22)では「出力の正当性」「説明可能性」「継続的監視」が求められる
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影響はかなり大きそうです。
EU GMPの内容はいずれPIC/S GMPにも反映されるため、製薬企業はEUへの輸出の有無に関わらず、施行を見越して
今からギャップ分析と対応計画の策定をしておく必要があると思われます。