FDA:アメリカの企業に対するALCOAの不備を含む指摘 (WL:320-26-21)

今回は、米国食品医薬品局(FDA) が米国内の医薬品製造業者に対して発したALCOAの不備の指摘を含むウォーニングレターを取り上げ
ます。
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
出典: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cdl-services-inc-dba-technichem-713877-11242025

**************************** Warning Letter 320-26-21 概要***************************
2025年4月7日~4月28日のFDAによる米国カリフォルニア州の医薬品製造所の査察において、医薬品製造に関するCGMP違反がみつかり、
2025年11月24日付でウォーニングレターが発行されました。
●指摘1
貴社は、医薬品の各ロットについて、リリース前に、各有効成分の同一性や濃度を含む、製品の最終規格への十分な適合性についてのラボの
適切な判断を怠った。(21 CFR 211.165(a))
<指摘1詳細>
貴社は手指の消毒剤や、ハンドソープXXを含むOTC医薬品を製造している。貴社は、リリースや販売の前に有効成分(例:エタノール、クロロ
キシレノール)の同一性と濃度について、貴社の医薬品のロットを適切に試験することを怠った。例えば、貴社は、査察中に提供された最終製品
の試験データはシミュレーションの結果に基づいて生成され、1年以上最終製品に対する試験は行われていないと述べた。その結果、貴社は、
濃度や同一性に関する最終規格への十分な適合性を保証するための適切な試験、レビュ、承認もなく市場に医薬品をリリースした。
貴社は回答の中で、販売前に製品をテストすることと、最も最近出荷されたロットのテストを行うことを約束した。貴社は最終製品試験の十分
な文書(例:提案された試験方法論や規格)を提供しなかったので、貴社の回答は不十分である。さらに、貴社の回答は、この試験がいつ実施
される予定かのタイムラインを提供しておらず、リスク評価も実施されていない。
試験は、貴社が製造した医薬品が、意図した用途に関して適切な、全ての事前に定義された品質特性に準拠していることを保証するために
不可欠である。貴社の医薬品の各ロットの適切な試験が不足していたので、貴社はそれらが適切な全ての最終製品規格を満たし消費者への
リリースに適しているかどうか知らない。
この文書への回答の中で、ロットの処遇を判断する前に貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を含む、化学及び
微生物学的規格のリストを提供せよ。
・この文書の日付時点で使用期限内の全ての医薬品のロットの品質を判断するための、保管サンプルの全ての化学及び微生物学的試験の
実施に関するアクションプランとタイムライン
・各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
試験で、品質基準を満たさない医薬品が見つかった場合、顧客への通知や製品の回収などの迅速な是正処置を講じよ。
●指摘2
貴社は、同一性と、純度、濃度、品質に関して文書化された全ての適切な規格への一致について、各成分のサンプルを試験することを怠った。
また貴社は、適切な間隔で、成分の供給者の分析試験の信頼性をバリデートして確証することを怠った。(21 CFR 211.84(d)(1), 211.84(d)(2))
<指摘2詳細>
貴社は、成分が貴社のOTC医薬品の製造の使用に適していることを保証することを怠った。例えば、貴社はグリセリン、エタノール、クロロキシ
レノールなどの入荷成分の各ロットの出荷単位ごとの同一性試験を実施していなかった。
さらに貴社は、適切な間隔で供給者の試験結果を検証することなく供給者の試験成績書を信頼した。さらに、貴社は成分として使用されている
水が意図した用途に適していることを保証していなかった。(例:米国薬局方(USP)モノグラムのXX水)
〇エタノールを含む製品
貴社は、貴社のOTC外用医薬品の製造において、メタノールの汚染のリスクがある入荷した成分エチルアルコール(エタノール)を、有効成分
(API)として使用する前に適切に試験することを怠った。メタノールに汚染されたエタノールの使用は、世界中の人々にさまざまな致命的な
中毒事件を引き起こしてきた。エタノールを含む医薬品を製造する際のCGMP要件を満たす助けとして、
FDAのガイダンス文書Policy for Testing of Alcohol(Ethanol) and Isopropyl Alcohol for Methanolを見よ。
〇ジエチレングリコールまたはエチレングリコール(DEGまたはEG)の汚染のリスクがある成分を含む製品
貴社は、貴社の医薬品を製造するために使用する前に、ジエチレングリコール(DEG)またはエチレングリコール(EG)の汚染のリスクが高い
入荷成分を適切に試験することも怠った。それには、これに限定されないが、OTC外用医薬品の製造に使用する前の、グリセリンやプロピレン
グリコールの適切な同一性を判断するための試験が含まれる。
グリセリン、プロピレングリコール、その他の特定のハイリスクの医薬品成分の同一性試験には、成分がDEGまたはEGの安全限界に関する
レベルを満たすことを保証するUSPの限界試験が含まれる。貴社は、各ロットの出荷単位ごとに、USP同一性試験を使って有害な不純物を
検出する同一性試験を実施しなかったので、貴社は、これらの成分を医薬品の製造に使用するための許容性を保証することを怠った。
DEGまたはEGに汚染された成分の使用は、世界中の人々にさまざまな致命的な中毒事件を引き起こしてきた。DEGまたはEGの汚染の
リスクの高い成分を含む医薬品を製造する際のCGMP要件を満たす助けとして、
FDAのガイダンス文書Testing of Glycerin, Propylene Glycol, Maltitol Solution, Hydrogenated Starch Hydrolysate, Sorbitol Solution, and Other High Risk Drug Components for Diethylene Glycol and Ethylene Glycolを見よ。
〇医薬品の成分として使用される水
さらに貴社は医薬品の製造に、成分として水を使用している。貴社は、その水が医薬品の製造において用途に適していることを証明していな
かった。少なくとも、それらの水はUSPモノグラフのXX水と、適切な微生物限度を満たす必要がある。
貴社は回答の中で、成分の同一性試験、高リスク成分内のメタノール及びDEG/EGの試験、成分として使用される水の試験の実施を約束して
いる。貴社は、公定書の要件に照らして成分がどのように評価されるようになるかについての詳細な計画を提出しなかったので、貴社の回答は
不十分である。さらに、試験方法や、提案された是正処置の実施のためのタイムラインに関する十分な情報が含まれていなかった。
適切な試験をしなければ、貴社には、成分が医薬品の製造に使用する前に適切な規格を満たしているという科学的なエビデンスがない。
製造業者として、貴社には、適切な品質を保証するために、製造に使用する前に医薬品成分のサンプリングをし、試験をし、検査をする責任が
ある。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・成分の各製造業者から得た試験成績書(COA)の信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社の標準操作手順書(SOP)も含めよ。
・この文書の日付から遅くとも30日以内に、医薬品の製造に使用されたハイリスクの医薬品成分の全てのロットの保管品の試験から得られた
DEGとEGの試験結果を提供するという約束
もしくは、成分のロットの保管品が使用できない場合は、DEG及びEGの存在について、関係する最終医薬品の全てのロットの保管サンプル
の試験を実施せよ。
・DEGまたはEGの汚染のリスクがある成分(これに限らないが、グリセリンを含む)を含む使用期限内の医薬品の完全なリスクアセスメント
DEGまたはEGを含む可能性のある成分と関連する医薬品の全てのロットの安全性を判断するために、顧客への通知や汚染されたロットの
製品回収を含む迅速で適切な措置を講じよ。これに限定されないが、全ての入荷した原材料のロットは、完全に適格性を評価された製造業者
からのもので、安全でない不純物を含んでいないことを保証することを含む、将来のサプライチェインを安全に保つための追加の適切な
CAPAを特定せよ。この文書への回答の中でこれらの措置の詳細を述べよ。
・同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格への一致について、成分の各ロットをいかに試験するつもりかの記述
もし貴社が、濃度、品質、純度に関し、成分の各ロットについて試験する代わりに、供給者のCOAから得た結果を受け入れるつもりであれば、
初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、供給者の試験結果の信頼性をいかに確実に検証するかについて明記せよ。
さらに、入荷した成分の各ロットについて少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。グリセリン、プロピレングリ
コール、その他のハイリスクの成分については、USPモノグラフのパートA, B, Cの実施が含まれることに注意せよ。
・製造に使用するための適合性を判断するために、ハイリスクの医薬品成分を含む、入荷した成分の各ロットの試験のために貴社が使用して
いる化学及び微生物学的品質管理の規格
・成分、容器、蓋の全ての供給者が適格性を評価されていて、原材料には適切な使用期限やリテスト日が付与されているかどうかを判断する
ための貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
レビュでは、入荷した原材料の管理が不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうかも判断する必要がある。
・この文書の日付から遅くとも30日以内に、使用期限内の製造された医薬品の成分の全てのロットの保管サンプルの試験から得られたメタ
ノールの試験結果を提出するという約束
もしくは、成分のロットの保管品が使用できない場合は、メタノールの存在について、関係する最終医薬品の全てのロットの保管サンプルの
試験を実施せよ。
・貴社の水システムが、USPモノグラフのXX水の規格と適切な微生物限度を満たす水を一貫して製造することを保証する継続的な管理、
メンテナンス、モニタリングのプログラムを統制する手順
●指摘3
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに準拠し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証する
責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)
<指摘3詳細>
貴社の品質部門(QU)は、貴社のOTC医薬品の製造作業の適切な管理が不足し、適切な手順を保証することを怠った。例えば、貴社の品質
部門(QU)は以下の事を保証することを怠った:
・苦情、供給者の適格性評価、変更管理、定期的な製品品質レビュを含む、QUの役割と責任を述べた適切な手順の確立(21 CFR 211.22(a), 211.22(d))
・権限のある職員のみが製造指図書及びその他の記録の原本の変更を行うことを保証するための、コンピュータ及び関連システムの適切
な管理の確立(21 CFR 211.68(b))
・貴社の医薬品が、それが持つとうたわれた、または、表示された同一性、濃度、品質、純度を持つことを保証するための適切な製造手順と
工程管理の確立(21 CFR 211.100(a))
・適切な安定性試験によって裏付けされた使用期限をもつこと(21 CFR 211.137(a))
・医薬品の各ロットについて、製造、加工、包装、保管の各重要なステップの完遂を含む適切なロットの製造・指図記録の確立(21 CFR 211.188(b))
貴社は回答の中で、専門のQUと関連する手順の確立を約束している。貴社のQUの体系的な改善と品質システムの改善に関する詳細な
記述が欠けているので、貴社の回答は不十分である。また貴社の回答は、貴社のQUがその機能を遂行するための責任と権限をどのように
持つのかについての詳細も記述していない。
CGMPの規制21 CFR part210, 211の要件を満たすための品質システムの実装とリスクマネジメントのアプローチを実施するための助け
として、FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・QUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善計画
 アセスメントには、これに限らないが、以下のことも含む必要がある。
 〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
 〇適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
 〇QUがロットの処遇を判断する前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
 〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査及びその他全てのQUの職務遂行の監督と承認
・文書化手順の不十分な箇所を特定するための、製造及びラボの作業全体で使用されている文書化システムの完全なアセスメント
 貴社が貴社の作業全体で、帰属性、判読性、完全性、原本性、正確性、同時性のある記録を保持していることを保証するために、貴社の
文書化手順を包括的に改善する詳細な是正処置・予防処置(CAPA)を含めよ。
・製品のライフサイクル全体で管理状態を保証するための貴社のバリデーションプログラムの詳細なサマリと関連する手順
 継続的な管理状態を保証するための、工程の性能適格性評価と、ロット内及びロット間のばらつきの継続的なモニタリングの
プログラムについて述べよ。また、貴社の装置と施設の適格性評価に関するプログラムも含めよ。
・貴社の安定性プログラムの適切性を保証するための包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
 貴社の改善プログラムには、これに限らないが、以下の事を含む必要がある:
 〇安定性を示す方法
 〇出荷許可前の、販売される密閉容器内の各医薬品の安定性の検証
 〇うたわれている使用期限が妥当かどうか判断するための、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような継続的
  なプログラム
 〇各ステーション(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義
●査察中の情報へのアクセス
査察中、ガスクロマトグラフ及び関連するCGMPコンピュータシステムは、査察チームでは利用できなかった。これにより、貴社の施設
のCGMP遵守状況を評価するための査察で、FDAが記録にアクセスすることが制限された。
オーナー、オペレータ、代理人が、査察の遅延、拒否、制限、拒絶をした場合、医薬品はFD&C Act 501(j)に基づき、不純物が混入されて
いるとみなされる可能性がある。
FDAのガイダンス文書Circumstances that Constitute Delaying, Denying, Limiting, or Refusing a Drug or Device Inspectionを見よ。
●CGMPコンサルタントの推奨
貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社は、貴社の作業を評価し貴社がCGMPの要件を満たすのを助けるために21 CFR 211.34に
記載された適格性のあるコンサルタントを雇う必要がある。適格性のあるコンサルタントは、貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態
の解決を達成しようとする前に、CGMP遵守に関して貴社の全ての作業を対象に6つのシステム(※)の包括的な監査を実施し、CAPAの完了
と効果を評価する必要がある。FDAのCGMPの規制要件を満たすために最新の品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装する
ガイダンスとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical Current Good Manufacturing Practice Regulationsを見よ。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを遵守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的にCGMP遵守
を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
※6つのシステム:品質システム、設備&装置システム、原材料システム、製造システム、包装&ラベル貼付システム、試験管理システム
●米国内で販売用に製造された化粧品
省略
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、調査して違反の原因を判断し、再発や
その他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題に即座かつ適切に対処しない場合、差し押さえや差止命令など、予告なく規制措置または
法的措置が取られる可能性がある。違反が未解決の場合、他の連邦機関との契約を締結できなくなる可能性もある。
違反に対処しない場合、FDAは輸出証明書の発行を保留する可能性もある。全ての違反に完全に対応がなされ、我々が貴社のCGMPの
遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また我々は、貴社が
全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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最終製品の試験をしていなかった、入荷成分の試験をしていなかった、品質部門が機能していなかった、査察官が査察中に記録にアクセス
できなかった等、なかなかの指摘がされたウォーニングレターでした。
また、指摘3では、品質管理部門による医薬品のCGMPと制定された規格の準拠を保証する責任の不履行の一つとして、
ALCOA(帰属性(Attributable)、判読性(Legible)、同時性(Contemporaneous)、原本性(Original)、正確性(Accurate))と完全性(Complete)
が保証された記録を保持していないことが挙げられており、データ・インテグリティの欠如があらゆる不備と関連していることをあらためて
感じました。

株式会社デジタルシナジー 
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