FDA:インターネット上での医薬品の違法販売抑制

米国食品医薬品局(FDA)とおよび保健福祉省(HHS)は、2025/9/9付で、誤解を招く消費者直販の医薬品広告を抑制するための
抜本的な改革を発表しました。
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-launches-crackdown-deceptive-drug-advertising?utm_source=chatgpt.com
発表の中で、FDA長官は、
“あまりにも長い間、FDAは誤解を招く医薬品広告を許可し、医師と患者の関係を歪め、臨床的妥当性に
関係なく医薬品の需要を増加させてきました。製薬会社は予算の最大25%を広告に費やしています。これらの数十億ドルは、
一般のアメリカ人の薬価を下げるために使ったほうがよいでしょう。”
と述べており、トランプ政権のめざす薬価引き下げ政策とも連動していることがわかり興味深いです。

FDAの改革の発表に関してChatGPTがまとめたポイントは以下の通りです。
**************************** FDAの改革の発表のサマリ ****************************
目的・趣旨
・直接消費者向け(DTC: Direct-to-Consumer)の処方薬広告が、利益を強調しすぎて重大な安全リスク・副作用等が十分に開示
 されていないケースが多いという懸念。
・消費者(特に高齢者やオンライン利用者)が「便益のみを見て」「リスク情報が不明瞭または隠されている」状況に晒されており、
 医師-患者関係を歪め、医薬品の不適切使用を促進しかねないという問題認識。
主な内容・取組み
1.警告文書と差止め命令
〇誤解を招く/虚偽の広告を削除するよう、医薬品企業に対して数千通の警告レターを発出。
〇約100通の “cease-and-desist”(差止めを求める)通知を、特に重大な広告例あるいは明らかに誤表示・安全リスク隠蔽の疑い
 があるものに対して発行。
2.規則変更(rulemaking)の発動
〇1997年に導入された “adequate provision” 規定上の「抜け穴(loophole)」を修正または撤廃する方向でルール改正を行う。
 広告におけるリスクの説明義務をより厳格にするため。
〇広告メディア(放送、デジタル、ソーシャルメディア等)で「major risk statement(主要リスクのステートメント)」だけで済ませ、
 それ以外のリスクを別媒体へ誘導する方式を見直す。
3.公平なバランス(Fair Balance)の強化
〇便益とリスクの情報を広告の中で適切にバランスさせ、「便益だけを強調する」広告表現を制限。重大副作用や禁忌などの
 情報を聞き取りやすく/読みやすく提示すること。
〇高齢者や視覚・聴覚等の制約のある消費者にとって分かりにくい表現を避ける。
4.デジタル・ソーシャルメディアの監視強化
〇インフルエンサーを含むソーシャルメディア広告やオンライン広告をプロモーション/広告としての規制対象として監視を強化。
 広告の出所・有料投稿の告知などを含めた透明性の要求。
5.監視体制・技術の導入
〇AI 等を活用した広告監視・レビュー体制の強化。プロモーション内容をプロアクティブにチェックする仕組みの強化。
〇法施行・監視強化とともに、広告業界・製薬業界・オンラインプラットフォーム等への通知を拡大。
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改革発表と同日に、FDAの医薬品評価研究センター(CDER)からは、“インターネットを通じた米国消費者への未承認および偽ブランド
の医薬品の違法販売(Unlawful Sale of Unapproved and Misbranded Drugs to United States Consumers Over the Internet)”
というタイトルのウォーニングレターが58通発行されていて、改革が本格的に実行されていることがわかります。

58件のウォーニングレターについて、ChatGPTがまとめた主要な連邦食品医薬品化粧品法(FD&C Act)の条項ごとの説明とFDAの
指摘内容は以下の通りです。
*********************** 58件のウォーニングレターの指摘サマリ ***********************
1. §505(a) — New Drug Application(NDA)の要件(「未承認薬」)
FD&C Act要旨
 製造・販売する医薬品が「新薬(new drug)」に該当する場合、FDA の承認(NDA または生物製剤では BLA)を得ていない限り、
 米国内流通に供してはならない。
FDA の指摘
 多くのウォーニングレター(WL)は、サイト上で販売・案内している製品が FDA 承認を得ていないにもかかわらず、消費者向けに
 販売・投与方法を提示している点を「未承認薬の流通」として指摘している。
2. §502 — Misbranding(ミスブランディング)およびその細目(502(a), 502(bb), 502(f)(1) 等)
FD&C Act要旨
 製品ラベル・表示が虚偽または誤解を招くものであったり、処方薬としての適切な表示(使用方法、警告等)が欠落している場合、
 当該医薬品は「misbranded(誤表示)」とされる。502(bb) は特に「承認薬と同等であると誤認させる表示」などの点を扱うことが
 ある。502(f)(1) は適切な directions for use(使用方法表記)の欠如によるミスブランディング。
FDA の指摘
 サイト上の表現が「当該製品はFDA承認薬と同じ有効成分/同等の効能がある」「(安全性が)同等」などの印象を与える文言
 になっており、消費者を誤認させる点を指摘。さらに、「研究用」等の体裁で販売しているが実際には投与指示や用法が示されて
 おり、処方薬としてのラベリング要件を満たしていない。
3. §331 / §301 — Prohibited Acts(禁止行為)・州境を越える導入(interstate commerce)
FD&C Act要旨
 FD&C Actに違反する医薬品を州境を越えて輸入・導入・配布することは連邦法で禁止される(331(a)、331(d) 等)。
 FDA は州際取引に基づくインターネット販売をこの枠で管轄する。
FDA の指摘
 指摘サイトがインターネットを通じ全米の消費者に出荷・配送している事実を確認しており、未承認やミスブランディングに
 該当する製品を州際取引で提供している。つまり「連邦規制の対象である違法な導入・流通」である。
4. §503A / §503B — Compounding(調合)例外の条件(個別調合/アウトソーシング施設)
FD&C Act要旨
 調合薬(compounded drugs)には、一定の条件を満たす場合に FDA の通常の承認要件からの限定的な「例外」が認められる
 (503A は州ライセンス下での個別処方向け、503B はアウトソーシング施設向け)。しかし例外適用のためには、例えば
 (a)使用する原薬がUSP/NFモノグラフにあること、(b)FDA承認薬の有効成分であること、(c)「503B bulks list」や「薬品不足
 リスト(§506E)」の条件等、法定の複数要件を満たす必要がある。
FDA の指摘
 多くのWL は、対象成分が USP モノグラフにない、FDA 承認薬の成分ではない、あるいは 503B の「bulk list」に載って
 いない/薬品不足状態を根拠にした正当化ができない、などの理由で 503A/503B の例外適用は認められない。結果として、
 当該製品は未承認薬として扱われる。
5. リスク表示・安全性情報の欠如(DTC広告・プロモーションに関する要求)
FD&C Act要旨
 処方薬の直接対消費者(DTC)広告やウェブ上のプロモーションでは、利益だけでなく「重要な副作用やリスク」を適切に
 提示し、製品の安全性情報を公正に表示する義務がある(これは misbranding の一側面として扱われる)。
FDA の指摘
 重大な副作用(膵炎、胆石、低血糖等)が報告されていながら、宣伝側がそうしたリスクを十分に開示していない、あるいは
 「安全である」という誤解を招く表現をしている場合、宣伝は不当・危険である。
6. その他:虚偽表示(「研究用」表示の濫用等)
「For research use only」「Not for human consumption」等のラベルを付して実際には消費者向けに人への投与を想定した
販売を行うケースがあるが、これも欺瞞的表示として指摘される。
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58件のウォーニングレターを一気に発行したFDAには驚きました。

と同時に、58件の指摘内容のサマリを作ってくれたChatGPTにも感動しました。
ホント、便利な世の中です。

日本でも、インターネット上で未承認の医薬品や医療機器の販売が問題になっていますが、これも便利な世の中だからこその
話なのだと思います。

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