FDA:中国の企業に対するデータ・インテグリティの欠落を含む指摘 (WL:320-26-01)

今回は、米国食品医薬品局(FDA) が滅菌医療消耗品を製造している中国の製造業者に対して発した、データ・インテグリティの欠落の指摘を
含むウォーニングレターを取り上げます。
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
出典: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/taizhou-kangping-medical-science-and-technology-co-ltd-711081-10092025

**************************** Warning Letter 320-26-01 概要***************************
2025年3月10日~3月14日のFDAによる中国の医薬品製造所の査察において、医薬品製造に関するCGMP違反がみつかり、2025年10月9日付
でウォーニングレターが発行されました。
●指摘1
無菌をうたう医薬品における微小汚染を防ぐための手順の確立の不履行(21 CFR 211.113(b))
<指摘1詳細>
貴社のXXには、“XXの場合を除き滅菌済み”とラベルが表示されている。しかし、貴社のXXは、滅菌されていないことが2025年5月10日の貴社の
“XXは非滅菌製品である”という回答で確認された。滅菌品XXは、医療従事者によりXXとして使用されることがある。滅菌品XXは、もし滅菌済みと
表示されている場合は、無菌性を保証するための管理が整備されている必要がある。査察では、貴社が医薬品の無菌性試験を実施していないこと、
XXの規格及び分析方法は、微生物限界USP<61>法に基づく最終製品の品質基準を試験し、合格基準は総好気性細菌数 ≤ XX cfu/g、
カビ・酵母数 ≤ XX cfu/gであることが記録されている。
無菌をうたう医薬品は、適用される21 CFR 211 CGMPの要件(無菌性の保証を含む)を遵守しなければならない。
2025年7月16日、FDAは貴社と貴社の米国の代理人と電話会議を行った。我々は、米国市場に流通している有効期限内の貴社の全てのXXの回収
を開始する決定を承知している。
●指摘2
適切な製品規格と科学的に妥当な試験手順の確立の不履行(21 CFR 211.160(b))
<指摘2詳細>
A.貴社のXX定量分析用の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)は、サンプルの注入前に、USP<621>に概説されているシステム適合性を適切に
確認されていなかった。貴社の承認済みの品質試験方法である、XX試験に関する品質規格と操作手順は、貴社の品質管理(QC)分析者が
クロマトグラフィ標準曲線XXを作成するよう指示されている点で科学的に妥当でない。この標準曲線からの計算方法は、XXの頻度で実施される
ため、バッチ固有の試験結果の定量制度に影響を与えるシステムドリフトや性能上の問題を隠す実質的な影響がある。
貴社は回答の中で、標準曲線の作成頻度を、XXから“各サンプル試験と同時に”に修正することを約束している。しかし、貴社は、“各サンプル試験
と同時に”実施される標準曲線が、XXの定量分析用に使用されるガス・クロマトグラフィ(GC)まで拡張されることを保証していないので、貴社の
回答は不十分である。
B.貴社は、リリース前にラベルに記載されている含有量を試験するために使用されているGCやHPLCのデータ収集システムの十分な管理が不足
していた。具体的には、クロマトグラムの計算に使用されるExcelのワークシートが保持されておらず、GC及びHPLCワークステーションへの
アクセスアカウントが職位ごとに共有されていて個々の分析者に帰属されていなかった。査察では、適合性及び分析値の計算に使用された最近の
Excelスプレッドシートの複数の削除が記録されている。貴社のQCの管理者/マネージャは、最終製品の品質基準を作成するために使用された
Excelスプレッドシートが、製品のリリースのために使用される前に、データ・インテグリティのためにバリデート、管理、保持、品質の検証がされて
いないことを確認した。さらにこの担当者は、試験を実施した唯一の分析者でありながら、システム内の管理者権限を保持していた。この行為に
ついてさらに質問したところ、QCの管理者/マネージャは、管理者権限の役割は、OTC医薬品XXのリリースと安定性試験用のガスクロマトグラフィ
のデータ収集ソフトウエアに直接アクセスすることだけであると回答した。
貴社の品質システムは、貴社の製造する医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるデータの正確性と完全性を適切に保証していない。CGMPに
準拠したデータ・インテグリティの実務を確立し遵守するために、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを
見よ。
我々は、貴社が、貴社の作業を監査しFDAの要件を満たす助けをする独立した第三者のコンサルタントを使用していることを認識している。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・米国向けに販売された医薬品に関するデータ・レビュの結果を含む、データ記録、報告における不正確さの範囲に関する包括的な調査
 貴社のデータ・インテグリティの欠落の範囲と根本原因の詳細な説明を含めよ。
・確認された不具合が貴社の医薬品の品質に及ぼす潜在的な影響の最新のリスクアセスメント
 貴社のアセスメントは、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品のリリースによって引き起こされる患者へのリスクの分析と、
 継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含める必要がある。
・全体的な是正処置・予防処置の計画(CAPA)の詳細を含む、貴社の経営戦略
 詳細な是正処置の計画には、微生物学的データ、分析データ、製造記録、FDAに提出される全てのデータを含む貴社で生成される全てのデータ
 の信頼性と網羅性をいかに保証するつもりかについて記載する必要がある。
●製品規格
貴社が提出した記録及び情報をさらにレビュした結果、XXの工程管理は、XXが有効成分として配合されたOTC医薬品XXに適用される条件と
一致していないようである。XXのようなFD&C Act 505Gに基づいて販売されているOTC医薬品XXは、有効成分XXの許容濃度はXX%からXX%
である。しかしながら、XXの製品ライフサイクル全体を通して、貴社の作業は、貴社のプロセスバリデーションで示されているXXの許容濃度を大幅
に超えているようである。例えば、貴社の規格及び分析方法では、XXの濃度が最大でXX%の製品のリリースが許可されている。さらに、貴社の
2024年の年次品質レビュと2023年の重要品質特性のプロセスバリデーションのサマリには、XXの濃度がXX%からXX%で検出され許容値を
大幅に上回っていることも記載されている。貴社のXXは、XX%の濃度でXXとラベル表示されているが、指摘した通り、貴社の作業と工程管理は、
OTC医薬品XXに提示されている条件と要件から逸脱しているようである。一貫した規制遵守のためには、貴社のXXのようなOTC医薬品XXは、
医薬品承認申請なしで合法的に流通させるための適用されるFDAの要件とOTCモノグラフの条件への遵守が不可欠である。
●医薬品の製造停止
貴社のこれまでの書面による回答は、2025年3月14日以降、米国市場におけるOTC医薬品の商業流通を停止することを約束している。もし貴社
がFD&C Actの規制対象となる製造作業を再開する計画がある場合は、貴社の医薬品製造作業を再開する前に連絡をせよ。貴社は、貴社が継続
してCGMPを遵守できることを保証するために、全ての不備とシステム上の欠陥を解決する責任を負う。FDAへの通知の際は、貴社が全ての
CAPAを適切に完了したことを示す貴社の改善のサマリを提出せよ。
●医薬品の回収
2025年7月16日、FDAは貴社と貴社の米国の代理人と電話会議を行い、貴社はその場で現在米国市場に流通している使用期限内の貴社の全て
のXXの回収を約束した。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、調査して違反の原因を判断し、再発やその他の違反
の発生を防止する責任がある。
FDAは、2025年9月18日に、貴社から米国に輸入用に提供された全ての医薬品及び製品の輸入警告措置66-40をとった。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者と
しての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために
査察を行うかもしれない。
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指摘を受けた企業は、滅菌パッド/スワブ、拭き取り用ワイプなどを製造しているようです。
このウォーニングレターを読むと、品質試験にバリデートされていないExcelシートを使用し、しかもそれを保持していないこと、分析者がシステム
の管理者権限を持っていることから、データ・インテグリティの欠落を指摘されていることがわかります。
ところで、ChatGPTの情報によると、中国は滅菌スワブのような医療消耗品の主要な供給国で、アメリカだけでなく日本も中国からの供給に相当
依存しているようです。
2019年に中国の抗菌薬製造工場の操業停止で抗菌薬を入手しにくくなり、日本の医療機関に手術延期の影響が出たことがありましたが、滅菌関連
の医療消耗品の中国依存も、昨今の状況を考えると大きなリスクに感じます。


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改訂内容や対応のための準備にご興味をお持ちの方は是非ご参加ください。
●セミナ名:
 PIC/S GMPコンピュータ化システムの改訂動向とコンピュータバリデーション等への対応
~Annex11における新たな要求事項・変更点とCSVで注意すべき事柄~
●日時:
 2026年3月13日(金) 13:00-17:00
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 [東京・大井町]きゅりあん5階第2講習室
 http://www.johokiko.co.jp/access/kyurian/
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 https://johokiko.co.jp/seminar_medical/AA2603L7.php

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