FDAー海外製造施設の抜き打ち査察拡大

トランプ大統領が”地球を揺るがす”と予告していた重大発表は、なんと、アメリカ国内の処方薬および医薬品の価格を
「即座に30%から80%引き下げる」という方針の発表でした。(医薬品の輸入関税を上げる話はどこに行ったのだろう?)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e20de2524f1e915c659a98b19bce60f187e2f63
”地球を揺るがす”という予告に、日本のSNS上に”宇宙人は存在した”という発表を予想する声があったのは笑えますが、
この薬価の引き下げは予想外でした。
製薬企業へのインパクトが懸念されます。

それはさておき、2025年5月6日、米国食品医薬品局(FDA)は海外の製造施設の抜き打ち査察を拡大すると発表しました。

FDAは、アメリカで消費される医薬品、医療機器、食品、化粧品の安全性を確保するために国内外の製造施設の査察を
行ってきましたが、国外の査察については事前に日程調整が行われており、ある意味時間稼ぎが出来ていたのですが、
それが難しくなるかもしれません。
査察時の“おもてなし”を拒否する方針も明確にしていて、なかなか興味深いです。
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-announces-expanded-use-unannounced-inspections-foreign-manufacturing-facilities

******************************** 訳 ********************************
本日、米国食品医薬品局(FDA)は、アメリカの消費者や患者を対象とした食品、必須医薬品、その他の医療製品を製造する
外国の製造施設における抜き打ち査察の利用を拡大する意向を発表しました。この変更は、インドと中国における同機関の
検査調査局の外国非通知査察パイロットプログラムに基づいており、アメリカ国外の企業が国内企業と同じレベルの査察を
受けることを確実にすることを目的としています。
「あまりにも長い間、外国企業は製造施設の査察前に事前通知が与えられる一方で、アメリカの製造業者はそのような警告
なしに厳格な基準を課せられ、外国企業は二重基準を享受してきました。それは今日で終わりです。これは、FDAが外国の査察
を軌道に戻すための広範な戦略の一環として重要なステップです」とFDAコミッショナーのマーティン・A・マカリー医学博士は
述べています。
さらに、FDAは、FDAが規制当局の監督の絶対的基準であることを確実にするために、海外査察プログラムの改善に関する
FDAの方針と慣行を評価します。これらの変更には、FDAの査察官が、監視プロセスの完全性を維持するために、宿泊施設や
交通手段(タクシー、リムジン、ハイヤー車両)を含む規制対象業界からの旅行の便宜を拒否する方針を明確にすることが含まれます。
FDAは、90カ国以上で毎年約12,000件の国内査察と約3,000件の海外査察を実施しています。アメリカの製造業者は抜き打ち査察
を頻繁に受けていますが、外国企業はしばしば準備に数週間をかけ、監視プロセスの完全性を損なっています。外国企業は事前に
警告を受け取っているにもかかわらず、FDAは国内査察の2倍以上の頻度で深刻な不備を発見しました。
FDAの国内査察は、査察中に適切な記録と職員が利用可能であることを保証するために、特定のプログラムやケースでのみ
事前に発表されます。しかし、規制対象の企業には、査察の日時を交渉する権限はなく、外国企業も交渉する能力を持つべきでは
ありません。
この変化に伴い、FDAは、アメリカに輸入されるすべての製品が安全かつ合法に正しく作られていることをさらに保証しています。
また、抜き打ち査察は、記録を改ざんしたり違反を隠蔽したりする悪質な人物を、アメリカ人の命を危険にさらす前に摘発するのにも
役立ちます。FDAには、査察の遅延、拒否、制限を求める企業、または未発表の医薬品または機器の査察のための立ち入りを拒否
する企業に対して規制措置を講じる権限を与えられています。
「FDAが製造施設に対して実施している科学的根拠に基づく厳格なグローバル査察により、アメリカ市場に流入する食品・医薬品、
およびアメリカの消費者の家庭が安全で、信頼でき、アクセス可能であることが確認されています」と、FDAの査察調査担当副長官
であるマイケル・ロジャーズ氏は述べています。「これらの査察は、公衆衛生を保護するための事実に基づく規制上の決定を下す
ために不可欠なリアルタイムのエビデンスと見識を提供します。」
FDAのグローバルな査察は、執行を強化し、アメリカの家庭の安全が守られるリアルタイムの情報を生成します。すべての査察は、
適切な規制対応を可能にするために分類割り当てプロセス(classification assignment process)を経ます。
「措置を講じる必要はない(No Action Indicated)」と評価された査察でも、アメリカの消費者のセーフティネットを強化する重要な
規制情報を提供します。
この拡張されたアプローチは、FDA の執行における新しい時代の幕開けであり、より強力に、よりスマートに、そして妥協すること
なくアメリカ国民の公衆衛生と安全をサポートします。
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これまでにも、海外の製造施設でFDAの査察を拒否したことを指摘するウォーニングレターを時々みかけましたが、抜き打ち査察
が増えると、ますます査察を拒否するケースが増え、輸入警告措置も増えるのではないでしょうか。
輸入関税政策と同様、海外からの輸入を減らしてアメリカ国内での製造を増やす意図があるのかもしれません。

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