2025年7月7日にECがEU GMPガイドラインAnnex22(人工知能)のドラフトを発表しましたが、ISPE(国際製薬技術協会)も
GxP規制分野におけるAIの使用に関する新しいGAMPガイド:人工知能をリリースしました。
このガイドには、患者の安全、製品品質、およびデータ・インテグリティを保護しつつ、GxP領域でAI対応のコンピューター化システム
を効果的に開発し使用するためのアプローチが書かれていて、下記の点で参考にできるようです。
・効率的で規制に準拠したプロセスを可能にするためのリスクベースの取り組み
・組織の経験に合ったシステム設計の選択
・利害関係者間、および規制対象企業とサプライヤ間のコラボレーションの向上
・効果的な監視とメンテナンス、複雑なAI 対応コンピューター化システムの継続的な管理の実施
・運用中のAI対応コンピュータシステムの継続的改善の促進
※このガイドはGAMP 5(Second Edition)及びGAMP の他のガイドと並行して使用されるように設計されたスタンドアロンのガイド
という位置づけのようです。
https://ispe.org/publications/guidance-documents/gamp-guide-artificial-intelligence
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最近続々とAI関連の文書(ドラフトを含む)が出てきており、製薬業界もいよいよAIを活用する時代になったのだなと実感します。
ただ、EU GMPガイドラインAnnex22:人工知能のドラフトのスコープ(下記参照)を見てもわかるように、AIの適用対象は限定されて
おり、日常業務への影響力は未知数な状況だと思います。
<Annex22のスコープに関する記述の抜粋>
・データを使用したトレーニングによって機能を取得した機械学習 (AI/ML) モデルに適用する
・静的モデル、つまり、新しいデータを組み込んで使用中にパフォーマンスを適応させないモデルに適用する
Annex22は、使用中にパフォーマンスを継続的かつ自動的に学習して適応させる動的モデルはカバーしていないため、重要な
GMPアプリケーションでは使用しないこと。
・同一の入力が与えられた場合に同一の出力を提供する決定論的出力を持つモデルに適用する
Annex22は、同一の入力が与えられた場合、同一の出力を提供しない可能性がある確率的出力を持つモデルはカバーしていない
ため、重要なGMPアプリケーションでは使用しないこと。
・Annex22は生成 AI および大規模言語モデル (LLM) には適用されず、そのようなモデルは重要な GMP アプリケーションでは
使用しないこと。
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人出不足が深刻化する中で、ミスを防いで業務の効率化をはかるためには、AIの活用は不可欠だと思います。
現時点では解決すべき課題は多いですが、GAMPのガイドも出てきたので、今後製薬業界がどのように変化していくのか楽しみです。