医薬品医療機器総合機構(PMDA)は毎年、GMP適合性調査に係る業務実績、調査体制、国際活動、現在の課題、将来の展望等を
まとめたGMP/GCTP Annual Reportを発行しており、2025年7月7日には、2024年度版のGMP/GCTP Annual Reportが発行され
ました。
https://www.pmda.go.jp/files/000276128.pdf
Annual Reportと併せて、PMDAがGMP適合性調査で指摘した中程度の不備事項の一覧表も公開されています。
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.pmda.go.jp%2Ffiles%2F000276129.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK
この一覧表は、具体的な不備の内容が確認できるため、とても参考になります。
一覧表に載っている合計43件の指摘のうち9件は、データ・インテグリティ(DI)に関するものでした。
2023年度は、23件のうちDI関連の指摘は2件だったことからも、いかにDIが重要な要件になりつつあるかがわかります。
9件の指摘を見てみると、作成すべき文書が作成されていない、文書は作成されているが不備がある、文書の所在がわからないと
いった内容で、特殊な指摘というより、どこの会社でも起こりうる内容のように思いました。
また、9件とも、コンピュータ化システム起因のDIの不備を指摘したものではありませんでした。
GMP適合性調査は、品目ベースの調査なので当然なのかもしれませんが、コンピュータ化システム主体で調査をしたら、DI関連の
指摘はもっと増えるのではないでしょうか。
そもそも、調査の申請の際に提出する書類におけるコンピュータ化システムについての質問は、
『医薬品製造所概要』の施設情報②(使用している重要なコンピュータ化システム)欄で、重要なコンピュータ化システムについて、
ERP/MES/LIMS/DCS/その他/使用なしから選択するシンプルな形式で、コンピュータ化システムの確認が手薄なように思います。
先日のEU GMPガイドラインのChapter4(文書化)や、Annex11(コンピュータ化システム)の改訂案からもわかるように、グローバルでは、
デジタル技術の進歩に伴ってDIを重視しコンピュータ化システムに対する要件も増えている状況です。
日本もコンピュータ化システムに関する調査の強化が必要なのではないかと感じました。