FDA:米国の企業に対する指摘 (WL:320-26-118)

今回は、米国食品医薬品局(FDA) が米国コロラド州の製薬会社に対して発したウォーニングレターを取り上げます。
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
出典: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/preye-llc-732141-08182026

********************* Warning Letter 320-26-118 概要 ********************
2026年3月17日~3月19日のFDAによる米国の医薬品製造所の査察において、医薬品製造に関するCGMP違反が
みつかり、2026年8月18日付でウォーニングレターが発行されました。
●指摘1
貴社は、指定された適切なサイズのエリア内で作業を実施すること、無菌作業エリア内で汚染や取り違えを防ぐため
に、分離されているエリアか指定されたエリアを持つ、もしくは、その他の管理システムを持つことを怠った。また貴社
は、医薬品の製造、加工、包装、保管において、意図した用途での作業や、洗浄・保守を容易にするために、適切な
設計・適切なサイズで、適切に配置された機器を使用しなかった。(21 CFR 211.42(c)(10) & 21 CFR 211.63)
<指摘1詳細>
貴社は医薬品の再包装業者として登録されていて、貴社が所有する隣接したXXを通じてのみ販売する医薬品を製造
していた。貴社の再包装作業は、オフィスのデスクの上の小さなクリーンベンチ(Flow Hood)で行われていた。これら
の作業は、分類されていないオフィス空間内の、認証も認定も受けていないクリーンベンチ内で行われ、高性能微粒
子空気(HEPA)ろ過システムも備えていなかった。
貴社は液体医薬品のバルクを得て、複数の医薬品製品XXに手で充填した。医薬品は、XXに使用するためという指示
がラベル表示された。貴社の製品XXは、微生物汚染から医薬品を保護するための適切な施設、機器、工程管理が
欠けた不適切な無菌処理状態のもとで充填された。
貴社の製造施設、機器、工程は、無菌医薬品(例:医薬品製品XX)への汚染リスクを防ぐために設計され、作業が実施
されなければならない。
●指摘2
貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに準拠し、同一性、濃度、品質、純度に関する制定された規格を
満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)
<指摘2詳細>
貴社の品質システムは不十分である。貴社には、品質部門(QU)の機能と、関連するQUの責任と管理を定義した文書
化された手順が欠けていた。貴社は、これに限定されないが、苦情のレビュ、サプライヤの適格性評価、リリース試験、
変更管理、洗浄、消毒、逸脱対応を含む基本的な手順を制定することを怠った。さらに、貴社は、2024年以降に製造
された全ての無菌医薬品についてロット番号を発行していなかったため、貴社の眼科医薬品はトレーサビリティに
欠けている。
一貫して医薬品の品質を保証するために、全ての製造作業を監督する適切なQUが不可欠である。貴社は、貴社の
医薬品の安全性、同一性、濃度、品質、純度を保証するために基本的な手順を実装して業務を実施することを怠った。
CGMPの規制21 CFR part 210, 211の要件を満たすために品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装
する助けとして、FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを
見よ。
●未承認の新薬違反
<訳文省略>
●医薬品のリスト掲載に関する追加のガイダンス
<訳文省略>
●無菌処理に関する追加のガイダンス
無菌処理により製造される無菌医薬品に関するCGMP要件の理解の助けとして、FDAのガイダンス文書Sterile Drug
Products Produced by Aseptic Processing—Current Good Manufacturing Practiceを見よ。
〇製剤XXの容器・栓
製剤XXは汚染されると、XXの投与が体の自然な防御機構の一部を回避するため、重大な有害事象のリスクを伴う。
XXを含む不可逆的なダメージが発生する可能性があり、場合によっては生命を脅かす全身感染症に進行することも
ある。医薬品XXがXXを欠き、容器閉鎖システムが微生物の侵入、汚染、増殖を防げることを示すデータがない場合、
リスクはさらに高まる。
●医薬品の製造中止
2026年3月22日、貴社は今後米国市場向けのXXの製造と販売を中止する意思を表明した。我々は、この施設に
おけるXXの製造を中止するというコミットメントを承知した。
もし貴社が再包装を含む何らかの医薬品の製造作業を開始することを計画する場合は、我々に連絡せよ。CGMP
活動を再開する場合、貴社には、貴社が継続的なCGMP遵守ができることを保証するために、CGMP全ての不備と
システム上の欠陥を解消する責任を負う。さらに、我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、貴社は、CGMP要件を
満たすために貴社を助けるために、21 CFR 211.34に規定された適格なコンサルタントを雇うべきである。適格な
コンサルタントは、貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、CGMP遵守に
ついて貴社の全ての作業に関する6つのシステム(※)の包括的な監査も実施し、是正処置・予防処置の完了と効果を
評価する必要がある。
貴社の当局への通知の中では、貴社が全ての是正処置・予防処置(CAPA)を適切に完了したことを示すために、貴社
の改善のサマリを提出せよ。
※6つのシステム:品質システム、設備&装置システム、原材料システム、製造システム、包装&ラベル貼付システム、
試験管理システム
●医薬品の回収
2026年5月11日、FDAは貴社と電話会議を行い、現在米国市場に流通しているXXの全ロットの回収を検討すること
を勧告した。
2026年5月18日、貴社は無菌試験の不足により、XXの自主回収を発表した。
●結論

貴社は、これらの違反とその他の違反が発生しないよう将来にわたって継続的な遵守を保証するために、是正処置・
予防処置を実施する責任を負う。
違反が未解決の場合、他の連邦機関との契約を締結できなくなる可能性もある。違反に対処しない場合、FDAは輸出
証明書の発行を保留する可能性もある。全ての違反に完全に対応がなされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認する
まで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また我々は、貴社が
全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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今回は、米国内の製薬会社に対するウォーニングレターでした。
オフィスのデスクで充填し、ロットの管理をしていなかったサプリメント用目薬について、FDAが回収を勧告するのは
至極当然なことだと思いました。
無菌作業の不備=アジアというイメージが強いですが、アメリカ国内でもこのようなケースがあるということは、興味
深かったです。

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