今回は、米国食品医薬品局(FDA) が韓国の製薬会社に対して発したウォーニングレターを取り上げます。
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。
出典: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/huons-co-ltd-724650-06152026
********************* Warning Letter 320-26-95 概要 ********************
2025年11月12日~11月21日のFDAによる韓国の医薬品製造所の査察において、医薬品製造に関するCGMP違反
がみつかり、2026年6月15日付でウォーニングレターが発行されました。
●指摘1
貴社は、制定された規格と標準に従っていることを保証するために必要な全ての試験から得られた完全なデータを
含むラボの記録を保証することを怠った。(21 CFR 211.194(a))
<指摘1詳細>
貴社の試験記録は、分析が実施されたことを裏付ける完全でオリジナルなデータが不足していた。例えば:
A.査察中、我々は、貴社が実施したエンドトキシンとバイオバーデン試験を含む、調合タンクとその移送ラインでの
XX試験の試験ワークシートの提出を要求した。当初、貴社はデータの一部のみを提出した。翌日、貴社の経営陣は、
我々査察官に、データ・インテグリティの重大な違反を知らせた。最初のXX試験ではエンドトキシンの限界値を超え、
2回目のXX試験でバイオバーデンの深刻なレベルが明らかになった。しかし、貴社のチームリーダは職員に著しい
増殖が見られたバイオバーデンプレートを廃棄するように指示し、日付を遡って記録を作成するためにカメラのタイム
スタンプを改ざんしていた。さらに、エンドトキシンの不合格の件は記録も調査もされていなかった。
B.貴社の微生物試験室を視察した際、我々は1897枚のCGMP関連の未管理のブランクフォームを見つけた。
C.貴社のログブックからページが抜き取られ、新たに偽造されたページに置き換えられた。貴社の微生物学チームの
リーダは、ログブックから記入済みのページをナイフを使って抜き取ったことを認めた。その後、ログブックのページは
元のページと見分けがつかないように加工され、微生物学チームのリーダは分析担当者に試験情報を日付を遡って
記入しバイオバーデンのサンプルに関する情報を省略するよう指示した。
貴社の回答によると、データの偽造に関わった複数の職員はすでに貴社で雇用されておらず、貴社は微生物学的
試験データの実務を監督するためにデータ・インテグリティチームを設立したとのことである。また我々は、貴社が、
貴社の作業を監査しFDAの要件を満たす助けをする独立した第三者機関のコンサルタントを使用していることも
認識している。
貴社の回答は、管理監督を体系的に実施しデータ・インテグリティを保証するのに十分なアクションを含む是正処置・
予防処置(CAPA)の計画を提供していないので、不十分である。
貴社は査察結果に対する最初の対応として、貴社のデータ・インテグリティの問題の範囲を適切に判断するために、
第三者機関にアセスメントの実施を依頼した。当初、貴社はこのアセスメントの中間報告と最終報告を提出すること
を約束した。しかしその後、貴社は、この文書は、“内部監査”の文書として分類され、報告書は提出されないとFDAに
通知した。当局は、貴社がこのアセスメントを内部監査と表現することに異議を唱えている。この査察のアセスメント
は、我々査察官が貴社に伝えたFDAの査察結果に対応して開始されたものであり、文書化された品質保証プログラム
に基づく定期的な評価の一部ではない。このアセスメントは、21 CFR Part 211.192と211.221で規定されている
FDAの査察結果に対応して貴社が開始した包括的な調査の一部であり、したがって、FDAの定期的なレビュの対象と
なる。
この査察のアセスメントの一環として、貴社の使用する第三者機関はデータ・インテグリティ問題に関する職員の
インタビュを実施し、貴社はこれらのインタビュ結果を最初の回答のエビデンスとして提出した。
さらに、貴社からの書簡によると、データ・インテグリティの問題は、貴社の微生物試験室にとどまらず、過去の物理
化学試験室における全有機炭素試験(TOC)で繰り返し発生していたデータ・インテグリティの問題も含まれている。
当局は、貴社の改善プロセス全体を通して完全な透明性を求めている。これらの査察結果に関連する事象は第三者
機関の支援を含む包括的は調査と改善プロセスを必要とする。これらの回顧的なアセスメントの過程で確認された
全てのCGMP関連問題は、品質部門の調査の範囲内で、FDAのレビュの対象となる。
試験結果または試験に関連する条件に関する完全で正確なレコードが記録または保持されていない場合、データの
インテグリティは根本的に損なわれる。さらに、信頼できるデータの不足は、適用される標準への準拠を保証する機能
を果たす品質部門の能力を損なう。
貴社の品質システムは、貴社が製造する医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるためのデータの正確性とインテ
グリティを十分に保証していなかった。CGMPに準拠したデータ・インテグリティの実務の確立と遵守のガイダンスに
ついては、FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・データ、記録、レポートにおける不正確さや不整合の程度の包括的な調査
貴社の調査には、以下の事を含むべきである:
〇詳細な調査手順と方法論;アセスメントの対象となる全ての試験室、製造作業、システムの概要;貴社がアセス
メントの除外を提案する作業の正当性
〇データの不整合や不正確の性質、範囲、根本原因を特定するための、現在及び以前の従業員のインタビュ
我々は、これらのインタビュは、適切な第三者機関によって実施されることを勧める。
〇貴社の施設におけるデータ・インテグリティの不備の範囲のアセスメント
省略、変更、削除、記録の破壊、非同時の記録の完成、その他の不備を特定せよ。貴社がデータ・インテグリティの
逸脱を発見した貴社施設の作業の全ての部分について説明せよ。
〇試験/製造/その他のデータ・インテグリティの欠落の性質に関する包括的で回顧的な評価
我々は、潜在的な違反が特定された分野の専門知識を持った適切な第三者機関が、全てのデータ・インテグリ
ティの逸脱を評価することを勧める。
・見つかった不備が貴社の医薬品の品質に与える潜在的な影響の現在のリスクアセスメント
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの逸脱の影響を受けた医薬品のリリースにより引き起こされる
患者へのリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。
・全体的な是正処置・予防処置の計画の記述を含む、貴社の経営戦略
貴社の戦略には、以下の事を含む必要がある:
〇分析データ、製造記録、FDAに提出される全てのデータを含む貴社で生成する全てのデータの信頼性と網羅性
をいかに保証するつもりかについて述べた詳細な是正処置の計画
〇現在のアクションプランの範囲と深さが、調査とリスクアセスメントで見つかったものに見合っているという
エビデンスを含む、貴社のデータ・インテグリティの逸脱の根本原因の包括的な記述
データ・インテグリティの逸脱の責任を持つ個人が、貴社のCGMP関連データまたは医薬品申請データに影響
を与えることが出来る状態のままかどうかを示せ。
〇顧客への通知、製品回収、追加試験の実施、安定性を保証するために貴社の安定性プログラムへのロットの
追加、医薬品申請アクション、苦情のモニタリングの強化等、患者を守り、医薬品の品質を保証するために貴社
がとった、またはとろうとしている暫定的な手段
〇貴社のデータのインテグリティを保証するために設計された、手順、プロセス、方法、管理、システム、管理監督、
人的資源(例:トレーニング、職員の改善)に対する改善の取り組みと強化について述べた長期的な手段
〇貴社がデータ・インテグリティの改善のプロトコルを実行した後、CAPAの効果を評価する助けをするために
少なくとも2年間、広範囲な年次照査を実施する適切なコンサルタントを雇うというコミットメント
〇米国市場向け医薬品のサンプリングと分析を監督するための微生物試験室に物理的に常駐する第三者機関
との契約
得られた全ての結果を裏付けるために、電子制御(例:監査証跡、写真改ざん防止等)を使った写真証拠の完全な
実装を保証せよ。
〇データ・インテグリティの懸念を報告する従業員から匿名の苦情を受け取る権限を持ち、その権限で潜在的な
違反を迅速に調査(必要に応じて外部機関からの専門知識と共に、独立した品質保証の機能による)することを
保証するチーフ・インテグリティ・オフィサを雇う場合はFDAに通知せよ。
〇すでに進行中または完了した上記活動に関するステイタス・レポート
●指摘2
貴社は、ロットがすでに出荷されたかどうかに関わらず、ロットまたはその成分の規格を満たしていない説明のつか
ない矛盾や不具合を徹底的に調査することを怠った。(21 CFR 211.192)
<指摘2詳細>
貴社は、規格外(OOS)の結果について適切な調査を開始しなかった。
例えばXXのロットXXは、未知の不純物により、初期の試験で不合格になった。貴社は、汚染されたガラス器具の仮説
検定を含む規格外の調査を開始した。仮説をシミュレートするために、貴社は、最初の不合格なサンプルを模倣する
ように、廃棄予定のガラス器具を用いて2番目のサンプルを準備した。この2番目のサンプルは合格基準を満たした。
貴社は仮説検定の合格結果を根拠として、もともとの試験結果を無効にした。
また、このウォーニングレターの最初の違反で述べたエンドトキシンの不合格を含むそのほかの規格外の試験結果に
ついても適切に調査することを怠った。
貴社は、市場にある全ての米国向け医薬品の全てのOOSの調査の回顧的なアセスメントを実施していると述べたが、
完了までの具体的なスケジュールは提出しなかった。また、貴社の回答は、品質部門(QU)の調査の監督の強化の
必要性に十分に対応していないので、不十分である。さらに、貴社のデータ・インテグリティの問題は、試験データを
評価し、OOSの調査を評価する義務を果たすためのQUの能力を著しく損なっている。
不合格、規格外、傾向外、その他の予期しない結果の取り扱いと、貴社の調査の文書化に関する詳細については、
FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production
を見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・査察開始日の過去3年間の米国向け製品の無効とされたOOS(工程内試験、リリース試験/安定性試験を含む)の
結果の回顧的で独立したレビュと、各OOSについて以下の内容を含む分析結果をまとめたレポート
〇無効とされたOOSの結果に関する科学的な根拠とエビデンスが、原因となる試験のエラーを決定的に証明して
いるか、あるいは決定的に証明していないかを判断せよ。
〇試験における根本原因が決定的に確認された調査については、その根拠を提出し、同じまたは類似の根本原因
に対して脆弱なその他全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
〇回顧的レビュにより明らかになった、試験において決定的でない根本原因がみつかったか、または根本原因が
特定されていない全てのOOSの結果について、徹底的な製造のレビュ(例:ロットの製造記録、製造手順の妥当
性、装置/施設の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)を
提出せよ。各調査に関し、潜在的な製造の根本原因のサマリと、製造作業の改善策を提出せよ。
・QUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善
の計画
アセスメントは、これに限定されないが、以下のことも含むべきである:
〇貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
〇適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
〇QUがロットの処遇を判断する前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
〇全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、調査及びその他全てのQUの職務遂行の監督と承認
●指摘3
貴社は、無菌をうたう医薬品の微生物汚染を防ぐために設計された適切に文書化された手順を制定してそれに従う
ことを怠り、また全ての無菌及び滅菌工程のバリデーションも怠った。(21 CFR 211.113(b))
<指摘3詳細>
スモークスタディでは、ISO5内の無菌処理作業における一方向流の気流の不足が示された。介入作業中を含め、
アンプル充填ラインXXの重要なエリア内で複数回の乱流が記録された。
また、介入作業中及びRABS XX(アクセス制限バリアシステムXX)のXXにおいて重大な危険も確認した。具体的に
は、作業者の頭部と上半身が完全にグレードAエリア内に入り込み、作業の重要エリアの上部のファーストエアを
遮断していた。さらに、RABS XXラインXX上のXXが、XX時に許容できない不要な気流の乱れを引き起こしていた。
貴社は回答の中で、第三者機関の監督のもとで、スモークスタディの再実施を約束している。貴社は、基本的なライン
の不備に対処するためのタイムラインや、適切なスモークスタディの実施のタイムラインを提出していないため、貴社
の回答は不十分である。また貴社の回答は、工程の分離の改善や、無菌処理ラインにアクセスするための頻繁なXX
の最小化(または排除)を含む、重要な運用設計の変更を検討しているかどうかを示すことも怠っている。
貴社は、これらの状況の貴社の医薬品の品質に対するリスクが低いという貴社の結論を正当化するために、過去の
環境データや無菌性データも提出している。査察で指摘された運用上の不備や、貴社の全ての微生物学的データの
信頼性に懸念を抱かせるデータ・インテグリティの問題を考慮すると、この正当化は不十分である。貴社はこれらの
データ・インテグリティの問題により、“過去3年の無菌試験結果と培地充填試験結果に基づく無菌保証データに
基づいて、製品への影響に関する結論を出すのは時期尚早である可能性がある”と認めている。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・これに限らないが以下のことを含む、貴社の無菌工程、装置、施設に関する全ての汚染の包括的で独立したリスク
アセスメント
〇ISO5エリア内のすべての人間同士の相互作用(例:可能な限り、手作業による介入のリスク低減または排除)、
装置の適合性(例:信頼性、性能、人間工学、配置)、十分なクリーンスペース、ISO5エリアとその周辺の部屋の
空気の品質、施設のレイアウト
〇職員の流れと原材料の流れ(無菌作業の実施とサポートに使用される全ての部屋における職員の動きと全ての
原材料の移送)
〇リスクアセスメントで特定された設計および管理上の危険に包括的に対処するための具体的なCAPAに関する
推奨事項
・汚染の危険のリスクアセスメントの結果に対処するためのタイムラインを含む詳細な改善計画
貴社の施設における無菌処理佐長の設計と管理に対して具体的にどのような改善が行われるかを説明し、この
是正処置・予防処置(CAPA)がいかに貴社の不備のある無菌製造作業を効果的に改善するかを説明せよ。
・製造中の適切な無菌操作とクリーンルームでの行動を保証するための貴社の計画
全ての製造ロットに対する定期的で効果的な監督体制を保証するためのステップを含めよ。また、無菌処理及び
そのサポート作業中の品質部門(QU)による監督(例:監査)の頻度についても述べよ。
・不十分な無菌技術とクリーンルームでの行動が貴社の医薬品の品質と無菌性にどのような影響を与えたかを評価
する徹底的な回顧的レビュとリスクアセスメント
・重要な充填エリアにおける無菌操作と作業者の配置について徹底的かつ包括的な評価を伴う、動的条件下での
スモークスタディの実施
無菌作業の改善後、気流を可視化し一方向流を厳密に評価するスモークスタディを実施せよ。
動的スモークスタディの動画も提出せよ。
・商業生産におけるワーストケースを適切にシミュレーションすることを保証する、改善された培地充填プログラムの
包括的な概要。
●指摘4
貴社は、無菌状態を管理するために使用される装置の維持するための適切なシステムを確立することを怠った。
(21 CFR 211.42(c)(10)(vi))
<指摘4詳細>
貴社は、貴社のXX手袋のモニタリング手順が不十分だった。貴社の手順は、バッチの充填終了時に、アンプル充填
ラインXX上のXX手袋からサンプリングを行うことを求めていた。さらに貴社の手順は、全ての手袋が試験され、いつ
試験されたかを特定することを保証する指示に欠けていた。
さらに、貴社はこれに限定されないが、適切な殺胞子消毒頻度に関する規定を含む、XX手袋を洗浄する方法に関する
十分な手順を欠いていた。
貴社の回答は、重要なアセスメントや是正処置の完了に関する具体的なタイムラインに欠けているため、洗浄と消毒
に関する不備に対する対応は不十分である。貴社は回答の中で、XX手袋からの汚染のリスクは低いと分類している。
製品が手袋に直接接触していなくても汚染が発生する可能性はあるため、これに関する貴社の根拠は不十分である。
バッチの製造中に必要に応じて手袋を臨時に消毒することを含め、XX手袋の消毒をより頻繁に行うことを保証する
方法についても対処していない。
貴社の回答は、環境モニタリングデータが堅固な汚染防止のエビデンスとして挙げられている。しかしながら、微生物
試験室におけるデータ・インテグリティ問題はデータの有用性や妥当性についての疑問を提起する。
XX手袋を厳重に管理するための適切なプログラムを制定することは不可欠である。適切な消毒と予防保守にくわえ
て、環境モニタリングプログラムは、全てのXX手袋を適切に網羅する必要がある。
貴社の製造環境における、潜在的な製品汚染の危険をタイムリな方法で検知し対応するためには、厳重で継続的な
職員及び環境のモニタリングプログラムが不可欠である。無菌製造施設における環境管理の不備は、最終的に患者
に深刻な危険をもたらす可能性がある。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
・施設と装置の定期的で厳重な運用管理監督を実施するためのCAPAの計画
この計画は、とりわけ、装置/施設の性能の問題の迅速な検知、効果的な修理の実施、適切は予防保守計画の遵守、
装置/施設のインフラへのタイムリな技術的アップグレード、継続的なマネジメントレビュに関するシステムの改善を
保証する必要がある。
・貴社の製造環境における、潜在的な製品汚染の危険の厳重かつタイムリに検知し対応することを保証するための、
貴社の環境モニタリング(EM)プログラムの独立した包括的なレビュ
このアセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含む必要がある:
〇適切な限度値の設定
〇サンプリング方法
〇サンプリング場所と頻度
〇傾向分析
〇逸脱と有害傾向の適切な調査
〇アセスメントの結果に基づく包括的なCAPAの計画
●無菌処理に関する追加のガイダンス
無菌処理を使って無菌医薬品を製造する際のCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書Sterile Drug
Products Produced by Aseptic Processing – Current Good Manufacturing Practiceを見よ。
●品質システム
この文書が示す重大な指摘結果は、貴社がCGMPに準拠した効果的な品質システムを運用していないことを示して
いる。貴社の試験及び製造作業に関する効果的な管理監督の欠如に加え、我々は、貴社の品質部門が適切な権限を
行使できない、かつ/または、責任を十分に果たしていないことを確認した。経営陣は貴社のシステム、工程、製品が
FDAの要件に適合していることを保証するために、貴社の全体的な製造作業を直ちに包括的に評価する必要がある。
●CGMPコンサルタントの推奨
我々が貴社で確認した違反の性質に基づき、もし貴社が米国市場向け医薬品の製造を再開するつもりであれば、
貴社は、貴社の作業を評価し、CGMPの要件を満たすために貴社を助けるために21 CFR 211.34に記載された適格
なコンサルタントを雇うべきである。適格なコンサルタントは、貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決
を達成しようとする前に、CGMP遵守に関する貴社の全ての作業に関する6つのシステム(※)の包括的な監査も実施
し、是正処置・予防処置の完了と効果を評価する必要がある。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを遵守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、
継続的なCGMP遵守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。
※6つのシステム:品質システム、設備&装置システム、原材料システム、製造システム、包装&ラベル貼付システム、
試験管理システム
●医薬品製造の停止
我々は、貴社がこの施設で米国市場向けの全ての医薬品の製造を停止するという貴社の約束を認める。
2026年3月24日、FDAは貴社と電話会議を実施し、米国市場向けに流通中で使用期限内にある貴社の施設で製造
された全ての医薬品のロットの自主回収の開始を勧告した。
2026年3月25日、貴社は、重大なCGMP違反により、貴社の施設で製造された全ての医薬品を自主回収することを
約束した。
この文書への回答の中で、貴社が今後この施設で米国市場向けの医薬品の製造を再開する意図があるかどうかを
明確にせよ。
もし貴社がFD&C Actのもとで製造作業を再開する予定がある場合は、製造作業を再開する前に通知せよ。貴社は
貴社が継続的にCGMPを遵守できることを保証するために、全ての不備とシステム的な不具合を解決する責任を
負う。貴社の当局への通知の中で、貴社が是正処置・予防処置(CAPA)を適切に完了したことを示すために、貴社の
改善のサマリを提出せよ。
●結論
この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、調査して違反の原因を
判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは2026年4月3日に貴社から米国に輸入するために提供される全ての医薬品及び医薬品製品に対し輸入警告
措置66-40を発した。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDA
は貴社の医薬品製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に
対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。
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<コメント>
今回は韓国の製薬会社に対する指摘でした。
指摘2のOOSの調査不足はありがちな指摘内容でしたが、指摘1のカメラのタイムスタンプの改ざん、1897枚の
CGMP関連の未管理のブランクフォーム、ログブックの差し替えは、なかなかカオスだと思いました。(FDAの査察官
が、1897枚のブランクフォームを1枚ずつ数えたのかと思うと、さぞ大変だっただろうなと思います。)
指摘3の微生物汚染対策に関する指摘は、最近査察でよく見かける指摘だと思います。FDAがスモークスタディの
内容を詳しくチェックしているのは興味深いです。
それから、もう一つ。指摘1の内容を読むと、韓国の製薬会社が、試験の記録にカメラ映像を使っていることがわかり、
興味深かったです。現時点ではタイムスタンプの改ざんが出来てしまうため是正が求められていますが、カメラ映像
も記録文書になりつつあることを実感しました。
監査証跡機能のないコンピュータ化システム(特にラボのシステム)について、システムを入れ替えるのではなく、
監査証跡や改ざん防止機能を備えたカメラ映像を使ってデータ・インテグリティの要件を満たすという方法も
とれるかもしれません。
